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Diary

生きてる

野火を読みました

読書

 

野火 (新潮文庫)

野火 (新潮文庫)

 

………すごい小説でした。

 なんだこれは、素晴らしすぎる。
これを読む前に映画版を見たんですけど、映画もすごく衝撃的で見た後はずっとこの作品について考えてしまいました。眠りにつくころに人間の切断された手足がぼとぼと私の布団の上に落ちてきては、私もあの人たちと同じ人間なんだよ、食べられるだろう、と謎の脅迫にうなされることがありました。それほど私の心にズドンと落ちてきました。
(映画のほうは相当ショッキングな場面が多いため覚悟が必要)

この小説は今の時代だからこそたくさんの人に見て欲しいなと思いました。

戦争って、本当に人を狂わすんだよ。
米兵と戦っていないというのに、同じ日本人同士で食うか食われるかの戦争が起きてしまう。敵は米兵ではなく、飢餓である。生き延びるために人肉を食う、それは誰にも責められないと思う。けれども日本兵が同じ日本兵を殺し、食すという行為は罪になるのではないだろうか。あの極限の場において法は存在しないが、主人公が食すために同僚を殺さなくてよかったと思う。(ただし記憶が抜け落ちてるため正確なことはわからない。描写がなかっただけ)

映画では主人公の心情は語られないので「こんなことを思ってるのかな」とこちらが勝手に補完してましたが小説はやはり心情がメインなので、だからこそ、辛い。たくさんの言葉でこの胸に迫りくる嘔吐感を表現したいけど、語彙が乏しいため難しい(笑)

 そもそも人間はそこまでして生きたいと思うのか?とかなりの疑問。
そういう飢餓に陥ったことがないため想像が全くできない。

 私があの場にいたら真っ先に手榴弾で自殺したいと思うが…それは私が女だから?
けれどもフィリピンのあの場所の記事を調べたら本当にそういうことが起きているのだから、簡単に「自殺すれば…」なんて言えない。実際は同じ日本兵もだが、現地の住民も殺し食したとあるから、恐ろしいことこの上ない。
文中でも出てきた「ニューギニアでは人食もした」という発言。太平洋戦争中、ニューギニアは飢餓地獄と呼ばれ日本人の90%以上が亡くなられたという。

もう戦争を恨まずにはいられない。そんなことを強く思った1冊でした。

この作者の「俘虜記」もいずれ読んでみたい。

 

野火 [Blu-ray]

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